---

ペルセポリス遺跡
Ruinas grande de Persepolis / Takht-e Jamshid

---

ペルセポリス

ユネスコ世界遺産でもある大遺跡
シリアのパルミラ、ヨルダンのペトラとともに
「中東の３P」
と呼ばれる超・有名遺跡

紀元前６〜４世紀のアケメネス朝ペルシアの王都だったところ
有名な理由は、この王国・アケメネス朝ペルシアを
かの有名な大王・アレクサンダーが征服し、
その都だったここを焼き払ったがため

イラン名は
タフテ・ジャムシード（Takht-e Jamshid）
ジャムシード王の玉座

伝説の王・ジャムシードの玉座ということになっとります
これほどの大遺跡でも、
ちゃんと書物に書かないとあっさり忘れ去られるもんなんやねぇ





この宮殿遺跡の建設者は、アケメネス朝ペルシアの創設者
ダレイオス�T世
紀元前522年に即位し、ペルシャ全土の反乱を１年かけて平定後、
勝利を記念して
王国発祥のこの地に宮殿の建設を開始
中央宮殿（会議の間）を完成させた後、
宝蔵とアパダーナ（謁見の間）の建設に着手

アパダーナは存命中は完成せず、
アパダーナが完成したのは次のクセルクセス王の時代

次のクセルクセス王はさらに拡張工事を続け、
玉座の間（百柱の間）、後宮、万国の門の建設に着工、
玉座の間の完成はさらに次のアルタクセルクセス王の時代になる

要するに、
３代１００年はかけて建設された大宮殿大建築だったわけですな



城塞ならまだしも、
そんな大宮殿を燃やしちゃったアレクサンダー大王って･･･

600年続いた秦の王宮・阿房宮を燃しちゃった項羽みたいなもんですなぁ
もったいないもったいない

---

ちなみに
このペルセポリス炎上
歴史書では２つの説がございます
歴史書というても、ローマ時代に当時の資料を基に編纂された幾つもの
アレクサンダー大王伝
のうち現存する５つですけど

１つは「酒の席で起きた偶発的火災」（大王伝５つのうち４つ）
もう１つは「計画的放火」
（アリアノスの「アレクサンドロス東征記」のみ）



1930年代、
このペルセポリスの大遺跡は、
アメリカのオリエント研究所によって発掘調査が行われました
発掘調査の結果は
「計画的放火」
を示唆しておりました

火災の痕跡があったのは、
アパダーナ（謁見の間）の大広間、
玉座の間の大広間と列柱廊、
宝蔵の主要な部屋と柱廊、その面積の半分近く
後宮
この４つの部分でした

これらは互いに離れてて、失火で延焼するとは考えにくい

また状況証拠として
後宮を除く全ての広間の柱が破壊・破損されていること、
灰の積もり方からして（アパダーナで30cm〜90cmの灰の厚さ）、
故意に可燃物が充填されていた可能性が高い

また、
灰の下からは、宮殿略奪の痕跡も見つかりました
しかも、破片が散乱しており、
炎上後の灰がかき乱された形跡がない
ということは、
略奪は短期間でかつ、
炎上後はそのまま放棄されたということを示唆しております



まぁ、この辺は
秦の滅亡時に、阿房宮殿に押し入った項羽の軍勢が
宮殿の略奪の後に火を放ったのと似てるよね
時代も近いし



ただし謎なのは、
アレクサンダー大王（アレクサンドロス）がペルセポリスを占領したのは
紀元前331年1月
ペルセポリス炎上が紀元前331年5月

間に４ヶ月の時間

この期間、アレクサンダー大王はペルセポリスに滞在している
そこんとこが、秦を滅ぼした項羽とは違うところ
単に略奪に徹するなら４ヶ月も滞在する必要はなかったハズ

こういうあたりが、
大王伝で失火説が支持された理由なんでしょうな



実際のところは、
ペルシア人の平定に手を焼いた大王が、
ペルシア人の誇りを打ち砕くがために宮殿を灰燼に帰せしめたみたい
ペルセポリス以外の王都は無傷のまま残してるからね

---

さて、
このペルセポリス

アケメネス朝ペルシアでは、政治的な首都でもあったらしい

ガイドブック「地球の歩き方」では
宗教的な都
と書かれてるけども、それは以前の通説
現在では、行政首都でもあったことは疑いない、とされております

以前の通説では、
イラン正月ノウルウズ（春分の日）の新年祭の儀式が行われた
とされるが、
ノウルウズが現在の春分点に固定されたのはＡＤ１１世紀
紀元前については定かではない
しかも
粘土板資料からは、王が秋にここに滞在したという記録も存在する
ノウルウズ説式典が否定された由縁





まぁ
なんにせよ、ここが重要な宮殿であったことは間違いございませんがね

2006年5月 / Mayo, 2006

説明 / Explicacion