ぬ:       ぬえ

スズメいろの足跡

名前だけはけっこう有名な化け物ヌエ
あんまし詳しくない方のために由来を簡単におさらいしましょう



平安時代末期
京都の朝廷は近衛天皇の仁平年間(高倉天皇の時代だともいうが)のこと

御所の上に夜な夜な東三条のほうから黒雲が現れて内裏の上を覆った
その度に天皇は御悩みになって苦しまれた、という話なんですな
そこで
源平のつわものの中から弓の名手・源頼政(みなもとのよりまさ)が選ばれて
その化け物を退治することになった
(ツワモノ、といいますと刀を振り回すイメージがあるかもしれませんが武士の命は”弓矢”なんです江戸時代より前は)
お供には”猪の早太”という武人(静岡県浜名湖辺出身)を一人

この源頼政は歴史では”源三位入道頼政”として有名
「平家物語」では後々以仁王をたてて謀反を起こす人
このヌエ退治の時はまだ昇殿は聴されてません。まだ五位以下

さて
夜、御殿の大床で待機していたら
丑三時と思しき頃、東三条から件の黒雲が飛来した

頼政は心中に「南無八幡大菩薩」と祈って弓矢を射た
果たして手応えがあり、ヌエが落ちてきた。この時、

「猪の早太つと立ち寄り、落つる所を取つておさへ、柄も拳も透れ透れと続けざまに九刀ぞ刺したりける」

(平家物語・鵺の事)

手に手に松明をもってしとめた化け物を見てみると
”頭はサル、胴はタヌキ、尾はヘビ、手足はトラ”で、
鳴き声は鵺(トラツグミ)に似ていた
だからこの化け物を”ヌエ”と呼んだ
、と

・・・・・いささか文意不透明な感のある由来ですが


ま、これが化け物”ヌエ”の由来です



でも、平家物語でヌエの記事はどっちかって言うたらですな、
基本的に「頼政の引き立て役」なんですわ
こういうエラい武人が以仁王を奉じて平家打倒の軍を起こし、
失敗して南都(奈良)へ落ち延びる途中に討たれてしまう
しかしこれを機に全国で平家打倒の機運が盛り上がっていった・・・
っていう話のおおまかな流れの中の挿話なんですな



ヌエをしとめた後の頼政の記事はこのように続きます


鵺の退治に成功して頼治は帝から御褒美を頂きます

内裏にて、帝は頼政に「獅子王」という御剣を賜ります
それをまず左大臣頼長が受け取って、地面に座って待ってる頼政
(だって昇殿を聴されてない地下人だもの)に渡すべく
階(きざはし)を降りてくる時、上空をホトトギスが鳴いて通った

すかさず左大臣
「ホトトギス 名をも雲居にあぐるかな」
と歌の上の句を歌いかけた

頼政も応えて右膝をつき、左の袖をひろげて横目で月を見やりながら
(弓を射るジェスチャー)
「弓張月の入るにまかせて」
と下の句をつけて返したと




だから
あくまでヌエはこの”和歌”の話の前振りでしかないんですな

なによりまず
「源三位入道頼政」は武人としてはもとより「歌人」としても有名だったのでして
その和歌は「千載集」に十四首、「新古今和歌集」に三首採られているのです

ですので実にヌエってば頼政の武道と歌の巧さを示す添え物でしかないんですね
そこらへん、ご承知置きください

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